今日は今年、実際にあった定年後夫婦の実例についてお話をしたいと思います。
主なテーマは相続税対策と資産運用についてです。
【属性】
60代夫婦からのご相談。
子供は40代女性と30代男性。
【資産内容】
(不動産)
横浜の土地建物25年前に購入。
購入時の価格は6500万円。
当時はバブルのはじける目前で土地が高いときに購入。
その後、不動産評価は転落の一途。
現在価格は3500万円くらい。(建物はほぼゼロ評価、土地代のみ)
(現預金)
銀行から勧められた毎月分配型投資信託へ投資(3年間は解約できない)
3000万円投資⇒現在評価額2300万円
(生命保険)
父が被保険者、死亡保険金1500万円
まず、最初にもし父が亡くなった時の相続税について考えてみました。
基礎控除額は3000万円+(600万円×法定相続人数3人)で4800万円です。
現在の総資産額は
土地 3500万円
投資信託 2300万円
で合計5800万円となります。
死亡保険金については法定相続人の数×500万円まで非課税枠となります。
この家庭においては500万円×3人=1500万円まで非課税となりますので
生命保険1500万円はまるまる非課税で受け取ることができます。
つまり5800万円の資産に対して、基礎控除額が4800万円ですので
1000万円が相続税計算の対象となります。
しかしながら、妻(配偶者)は1億6000千万円までの配偶者特別控除が
ありますので、相続税額0円で受け取ることができます。
配偶者は財産の2分の1を受け取れるので2900万円については非課税で
受け取ることができます。
子供はそれぞれ4分の1ずつ分けるので1450万円ずつわけることになります。
この1450万円に対して相続税がかかってきます。
ここでいくつかポイントを指摘させてもらいました。
・不動産をどうわけるのか?
・父が存命の間に売却してしまいお金で分けるか?
・3人の共有名義はあとあと面倒になるので避けた方がよろしい
・売却しないのであれば代償分割のスキームを今のうちから考えた方がよい
・2次相続のことまで考えた方がよい
(1次相続ではそれほど相続税負担は大きくならないが母が亡くなった時の2次相続
のほうが税負担が大きくなるから)
・今のうちからできる範囲で生前贈与対策をした方が賢明
ここの家庭は大きく2つの損をしています。
一つはバブルではじけて不動産でも約3000万円マイナス評価になったこと。
もう一つは銀行に言われるまま入れた投資信託が大きく評価を下げて約700万円マイナス
となっていることです。
不動産に関しては家賃収入を得ているとのことでインカムゲインが少々
見込めるのである程度、土地の評価が上がったところで売却をすれば
プラスマイナスゼロで終えることができると思います。
が、銀行から勧められた投資信託が最悪のものでした。
(これはみなさんも陥りやすいところですので気を付けてください)
当初、勧誘の時、「3カ月に1度投資額の5%の分配金をお支払いします」
というあまーい勧誘の言葉がありました。
普通に考えたら3000万円の5%すなわち150万円が3カ月に1度分配金
として支払われて年間600万円の利益が出る、これはやらない手はないとなりますよね?
ところが、実際に起こったのは2回ほど5%の分配金を手にして、そのあとは
運用実績が悪いという名目で0.5%の分配金しか支払われていません。(15万円)
しかも0.5%の分配金がもとに戻ることはほぼありません。
更に悪いことに元本は切り崩されて現在2300万円となっています。
1年半ほど経過しているとのことですが、単純に考えて分配金受取総額が
360万円、現在もし解約すると2300万円の評価額
つまり、トータル340万円のマイナスということになります。
3000万円の原資で3カ月に1度の5%の利息(年率20%)が入ってくる
こんなすごい投資信託ならすぐにやる⇒結果そんなうまいことは続くわけでもなく
結局はマイナスの世界の入っていくという典型的な事例でした。
目先の利益に惑わされては行けません。
毎月分配型投資信託の落とし穴については今後も詳しくお話をしていきたいと思います。
今日は具体的な事例をあなたにしっていただき、気をつけてくださいということを
お伝えしたかったです。